本日の終値を C0、前日の終値をC1、前々日の終値をC2、…と書く。
騰落率は C0/C1-1である。
5日移動平均MA5=(C0+C1+C2+C3+C4)/5である。
移動平均からの乖離率について
今、1日の騰落率が5日間ともrであったとしよう。すると、
C0 = C4×(1+r)^4 ≒ C4×(1+4r)
rが十分0に近いとき、(1+r)^n ≒ 1+nr であることを用いている。 今後これをどしどし使う。
同様に、C1≒C4×(1+3r)、C2≒C4×(1+2r)、C3≒C4×(1+r)、であるから、
MA5 ≒ C4×{(1+4r)+(1+3r)+(1+2r)+(1+r)+1}/5 ≒ C4×(1+2r) となる。
C0のMA5からの乖離率は、
C0/MA5-1 ≒ (1+4r)/(1+2r)-1
≒ (1+4r)(1-2r)-1
≒ 2r
すなわち、騰落率の2倍の値となる。逆に言えば、乖離率の2分の1が1日当たりの騰落率ということになる。
同様に、(25日移動平均からの乖離率)÷12 = 25日間の平均騰落率
(75日移動平均からの乖離率)÷37 = 75日間の平均騰落率
と考えることができる。
移動平均曲線の傾き
移動平均が右肩上がりならば、上昇トレンドにあると考えられる。しかし、チャートを比べて上昇の度合いを考えたいと思っても、チャートの縦の比率が一定ではないので、単純には比べられない。
移動平均曲線の傾きはどう求めたらよいだろうか。前述のMA5で調べてみる。
最終のMA5の傾きは、前日MA5と当日MA5の差である。
(MA5の傾き)=(当日MA5)-(前日MA5)
= (C0+C1+C2+C3+C4)/5-(C1+C2+C3+C4+C5)/5
= (C0-C5)/5
なんと、5日前との終値の差の5分の1である。途中の値は関係ないのだ。
C0-C5はモメンタムというらしい。
同様に、25日移動平均の最終日の傾きは、25日前との終値の差の25分の1となる。
ただの終値の差に、こんな意味があったとは!!
さて、実際には、株価が高いところでは当然その傾きも大きくなるのだから、比較のためには、
C5/C0-1の値を使うことになるであろう。この値はROC(rate of change)というらしい。
quantmodでは momentum(x, n = 1, na.pad = TRUE)
ROC(x, n = 1, type = c("continuous", "discrete", na.pad = TRUE)
となっている。上の計算と合わせるなら"discrete"である。